どういう職業に就くのであれ、その仕事を始める前には、
「動機」というものが存在します。
それは、「社会的」に認められる立派な理由であろが、
「金銭」という自分の生活に特化したものであろうが、
「楽しそう」という自分の興味に重点を置いたものであろうが、
最低限、やるべき事をやるのであれば、何も問題はありません。
看護学校の入学時の面接の時には、
所謂「社会的(世間的)に良し、とされるような志望動機」は、
真っ先にぶった斬られます。
それは、例えば、
「社会の役に立ちたい」だとか、
「患者さんに寄り添うケアをしたい」だとか、
そういう、曖昧模糊とした志望動機です。
「社会」の役に立つって、具体的にどういう事ですか?
そもそも、あなたのいう「社会」とは、
地域住民、地方行政、政府、法律、国家、地球、どれの事を指しますか?
全部ですか?
全部の役に立つために、今、何を目標にして、どう行動しますか?
「患者さん」には、どうやって寄り添うのですか?
話を聞くのですか?
そもそも、一番大事な事を分かり易い言葉で、他人のあなたに、
全部話してくれると思いますか?
話したくない患者さんには、どう寄り添いますか?
全部医療従事者に依存しっぱなしの患者さんは、回復すると思いますか?
自分は「土の星座」だから、「水星が射手座」だから、
「ハードアスペクト」が多いから。
自己肯定感が低い事を、ホロスコープのせいにして生きている人なんて、
私は初めて見ました。
あなたの人生の「目標」は、
「自分で試行錯誤しながら自分の人生を創る」事ではなく、
「ホロスコープ通りの人生をコンプリートする事」ですか?
私は、自分の人生を少しでもよりよくするために、
「占いという道具」を使い、
患者さんや入居者さんの健康問題や生死に関わる事を、
少しでもよりよくするために、
「看護診断」という道具を使っています。
私は「占い」や「看護診断」を、人生の目標とは考えていません。
私が看護師になって5年程経った時に気付いた事があります。
それは、自分が「看護師として社会に役に立っている事」で、
居場所を確保し、そこに大きく依存している事です。
これを止めるのは、なかなか大変な事でした。
何故なら、人間には「所属欲求」というものが存在し、
実際に現実世界で生きていくためには、その欲求は必要となってくるからです。
しかし、この欲求が行き過ぎ、依存になると、
「正義という鉄槌」…自分の仕事は、みんなの役に立っている、
だから、これは社会にとって絶対必要だから、
みんなが自分を認めなければならない、という過信の元となります。
このような心理は、色々な業種に当てはまります。
ですから、「自分の中の社会性」に自分が飼い慣らされるのではなく、
「自分の中の社会性」を、自分で飼い慣らす事が、重要です。
「社会」が「悪魔」というのは、本当にその通りです。
戦争なんてなくても、社会の役に立っていれば、
「勝てば官軍」側に、簡単に立ててしまえるのですから。